7月7日、塚原史先生(法学学術院教授、會津八一記念博物館館長)主催の三鷹天命反転住宅見学会が開催されました。
三鷹天命反転住宅は2005年に現代芸術家の荒川修作と詩人マドリン・ギンズの設計で建てられた共同住宅です。「死なないための家」をテーマに「In Memory of Helen Keller」と副題が付され、全身の感覚を刺激するような仕掛けが散りばめられています。
色とりどりの円柱や直方体が組み合わさった外観によって遠目にも異彩を放っている住宅へ足を踏み入れると、そこには一層幻惑的な色彩の壁と天井、傾いた凸凹の床からなる驚くべき室内空間が広がっています。
どの視点からでも6色以上が目に入るという内装はわれわれの視覚を強く刺激し、波打つ床は感覚を「殺した」ままではまっすぐ歩くこともままなりません。
他にも天井から荷物を吊り下げる収納方法や、屈んだり背伸びしたりしなければ届かない照明スイッチ、傾斜のある天井やツルツル滑る球状の小部屋など、住居内には全身の感覚を研ぎ澄まさせる仕掛けが充ちています。
このような仕掛けによって荒川とギンズは、日常的に「死んでいる」感覚を活性化して、盲聾の活動家ヘレン・ケラーのように自らの世界を拡張することをわれわれに求めているのです。
参加したゼミ生一同、「死なないための家」を全身で体感して参りました。
[ 文責:伊藤圭一郎 ]